登録実務講習とは

宅建試験に合格しても、すぐに「宅建士」として動けるわけではありません。 宅建士として登録するには、不動産取引の実務経験が2年以上必要です。 実務経験が2年に満たない場合は、この「登録実務講習」を修了することで、実務経験に代えることができます。

講習は国土交通大臣が登録した機関が実施しており、 事前の通信学習(テキスト・動画)+2日間のスクーリング、という形式が一般的です。 最後に修了試験があり、合格すると修了証が発行されます。

どこで申し込む?費用と選び方

登録実務講習を実施している機関はいくつかあります。 私が申し込んだのは総合資格学院(大阪)です。

主な機関の費用(目安)

  • 総合資格学院:通常 20,900円 → 合格発表前申込で 17,600円
  • LEC:23,000円前後

総合資格学院を選んだ決め手は2つ。 合格発表前に申し込むと3,000円以上安くなるという点と、 私の場合は会場が大阪・本町駅直結で、通いやすかったこと。 合格発表前でも申し込みができるので、受かった確信があれば早めに動くのがお得です。

講習前の準備

申し込みから約1ヶ月前にテキストが届きます。 テキストと一緒に、動画閲覧サイトのURLも案内されていました。 せっかくなので、届いてすぐに動画を一通り見て、内容を頭に入れておきました。

試験勉強ほどガッツリやる必要はないですが、 当日の理解度が全然違うので、ひと通り見ておくのはおすすめです。 まったく予習なしで行くのはさすがにもったいないかなと思います。

当日のスケジュール

私が受講したのは12月末の2日間です。 丸2日間は、本当に缶詰状態でした。

スケジュール概要

  • 1日目:1時間×7コマ
  • 2日目:1時間×5コマ+修了試験(1時間)

講師は計3名。メイン講師1名とサポート講師2名の体制で、 全員が現役で不動産業務に携わっているプロの方々とのことでした。 メインの講師の方は説明がとにかく上手で、終始わかりやすかったです。

現役講師から聞いた現場の話

テキストを読むだけでは得られない「生きた話」を聞けたのが、この講習の一番の収穫でした。 中でも特に印象に残った話を3つ紹介します。

埋蔵文化財包蔵地:本当に「出てきた」話

試験で学ぶ「周知の埋蔵文化財包蔵地」は、工事前に行政への届出・場合によっては試掘調査が必要になります。 調査費用を誰が負担するかというリスクも含めて重説でしっかり説明しなければなりません。

講師の方が「実際に出てきたことがあった」と話してくれました。 大学の教授が現地に来て、約半年間かけて発掘調査が行われたと。 重要事項として扱う理由が、急に現実味を持って伝わってきました。

20億円のビル・報酬6,000万円

「20億円のビルの案件を担当したことがある」という話が出ました。 報酬はおよそ6,000万円。

これが宅建士の仕事のスケールのひとつなんだ、と素直に感じました。 夢のある話です。

雨漏り調査と毛細管現象

物件調査のポイントとして、「雨漏りは屋根だけ見ていたらダメ」という話が出ました。 横壁の劣化やコーキングの亀裂も確認しなければいけません。

さらに「毛細管現象」——水は細い隙間を伝って、下から上へ上っていくことがある。 屋根に問題がないのに天井が染みてくる、というケースはこれが原因のことがあるそうです。 「え、水って上にも行くの?」と正直驚きました。 調査の視野が広がった瞬間でした。

講習で叩き込まれたこと

2日間を通じて繰り返し強調されていたのが、「調査」の重要性です。 調査、調査、調査——それくらい何度も出てきたフレーズでした。

調査義務を怠れば、行政処分(業務停止・登録取消)のリスクがある。 その具体的な事例の話を聞いて、責任の重さを実感しました。

そして、35条書面・37条書面への記名。 自分の名前と登録番号を書くということは、その内容に責任を持つということです。 これは試験勉強で何度も出てきたことですが、現役の方から言われると重みが違いました。

宅建士向けの賠償責任保険
講習の中で、宅建士を対象にした賠償責任保険の話も出ました。 年9,000円ほどで1億円の補償が受けられる保険があるとのこと。 これは入っておくべきだと思いました。

修了試験

マーク式
30問
80%以上で合格
記述式
20問
80%以上で合格

試験時間は1時間で、時間は十分あります。 解答ペースに焦りはまったくありませんでした。

各単元の終わりに「ここはポイントですよ」と出そうな箇所を教えてもらえるので、 講習をきちんと聞いていれば安心して受けられます。 私はマーク式も記述式も満点でしたが、 たぶん満点の人は多かったはずです(笑)

修了証の到着

試験合格後、修了証は郵送で届きます。 私の場合、講習終了からおよそ2週間後に到着しました。 修了証は宅建士登録申請に必要な書類のひとつなので、大切に保管してください。

受けてみての感想

正直に言うと、受ける前は「義務だから仕方なく…」という気持ちが少しありました。 でも、終わってみると、受けてよかったと心から思っています。

テキストで勉強していても、「なぜこの条文があるのか」は実感として掴みにくい。 現役のプロが話す具体的なエピソードが、条文の重みをリアルにしてくれました。 埋蔵文化財が実際に出てきた話、20億円の案件、雨漏りの毛細管現象—— どれも、テキストには書いていない話ばかりです。

年末の丸2日間、本当に充実した時間でした。 メインの講師をはじめ、3名の講師の皆さま、ありがとうございました。

  • 合格発表前申し込みで費用を抑えられる
  • 事前動画学習をしておくと理解度が上がる
  • 現役プロの実体験エピソードが聞ける
  • 修了試験は講習を聞いていれば十分解ける
  • 「調査」と「記名の責任」を改めて肝に銘じた